カティンの森

鎌倉から博多に,二人の拠点を移動するにあたり、家人と心配したことの一つに、東京で公開される映画がどの程度博多で観ることができるか、ということがありました。都市の住みやすさの指標のなかに、いわゆる「文化度」みたいなものは必須条件の一つでしょう。音楽会・コンサート・演劇・美術展・博物館、そして映画ももちろん含まれます。さらに、レストランのバラエティ度とか、いわゆるミシュラン度とかがあると思います。
週刊誌の映画評で「カティンの森」はぜひとも観て見たい作品の一つでした。問題は、果たして博多で公開されるかでした。東京で小さくてもいい作品を公開してくれている、いわゆる単館映画館(岩波ホール、銀座シネスイッチ、渋谷のユーロスペース、イメージフォーラムとか恵比寿の写真博物館)にあたるのが、博多では「KBCシネマ」と博多駅の「シネリーブル」です。加えて、特に若い女性向け作品を中心にしている「西鉄ソラリアシネマ」があります。
で、先週から博多シネリーブルに「カティン」がやって来たのです。家人から、夜7時から一緒に行かない、とのお誘いです。互いに仕事を終えて「缶チューハイ」と「つまみ」と「おにぎり」を内緒で(スミマセン)持参して、観て来ました。
作品の内容については、家人が書くでしょうから割愛しますが、そのパンフレットは「岩波ホール」制作のもので、冒頭の筆者が澤地久枝さんでした。ポーランド将校の大虐殺を実行したのが「ナチ」なのか「共産党」なのかという真実も驚きますが、アンジェイ・ワイダ監督がいいたかったこと、伝えたかったこと、残したかったことは、より根源的なもののように思えました。澤地さんの文章の最終に「人間には、そういう悪の、負の要素がが隠れ住んでいて、戦争の狂気、手放しの野心がまかり通るとき姿をあらわす。」と書かれています。
スターリンがナチを恐れ、いずれポータンドも反抗してくるという恐怖が、ポーランド将校の抹殺を実行させた。しかも第二次終戦が終わり、ソ連に統治されたあとも、「ヒトラーの仕業」としてあらゆる人々が偽ってきた事実の怖さは、ポーランド、東欧、共産党だけと考えないことが大事だと思います。

たまたまですが、昨晩、NHK衛星ハイビジョンで再放送された「さまよえる戦争絵画 従軍画家とその遺族達の証言」を観ました。最初の放映は2003年8月16日、終戦記念日翌日だったようです。太平洋戦争中に、戦意高揚のプロパガンダとして描かれた著名画家の「戦争画」と、その遺族達の取材による特集です。藤田嗣治が、戦後日本の画壇から「戦争協力者」として非難されし、日本国籍からフランスへ帰化し「レオナルド藤田」となったことは有名な話しです。一方、小磯良平、宮本三郎、会田誠は、その後大作家となって日本画壇の中心に存在し続けました。宮本三郎のお孫さんは筑波大学の教授として、三郎の戦争協力という責任の一旦を担い続けながら、アジアからの「留学生とともに、戦争とそのプロパガンダとしての戦争画について、考え続けています。
小川原脩は、戦後ふるさと北海道十勝に移り、一度も東京へはでてこなかったようです。彼は昨年8月に死んだのですが、番組では長時間のインタビューに応じ、戦争画の本質とそれに協力したことの自分との向き合い方を、真摯に問い続けた戦後だったようです。
カティンから戦争画に、話が飛躍しましたが、カティンでワイダ監督が伝えたかったことは、いつでもどこでも、誰にでも起こりえる普遍的な「人間の怖さ」と思えるのです。問題はそのとき、自分はどうするか、どちらの側にたつか、澤地久枝さんの文章の中に、中国映画「芙蓉鎮」(私は観ていませんが、文化大革命時代をテーマの作品)のなかのフレーズ、赤衛兵に連行される夫から妻への最後のことば、「豚になっても生き延びよ」という言葉を知りました。
カティンで澤地久枝の文に触れ、このフレーズにであったことも、この作品のおかげと感謝したい。
ずっしりと重たい作品でした。

機会があれば、是非みていただきたい映画です。(少し歴史を知ってると、より深く感じると思います)

A:ストーリー・物語   20/20
B:演出         20/20
C:映像          9/10
D:音楽          7/10
E:配役         18/20
F:Pabaro評価      20/20  合計 94点/100点満点 

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◆小倉で生まれて、小学校と大学は東京。
大阪で17年、東京で17年、広告会社の営業一筋。
07年夏から博多住まい、2011年6月退社し、家人の実家の医療法人の経営を手伝い、2015年4月から年金生活へ。。自宅は福岡市の西、唐津に近い糸島市福吉。海まで3分、山も近く、水も豊か。昭和7年建築の古民家を改装して、愛犬2匹とEnjyoy Country Lifeです。

人は心を一つにできたら、想像以上の成果がでると信じています。

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